無数の自動車のワイパーの情報がネットワークにつながればゲリラ豪雨のリアルタイム把握に役立ちます。雪で立往生した車の位置からは交通障害が大きな場所がすぐに特定できますし、将来的にドライブレコーダーの画像情報が共有される時代には市内全域の被害状況が無数の動画で把握できるようになるはずです。

5Gで
防災はどう進化する?

 携帯ネットワークの5Gが4Gとどう違うかというと、この無数の機器がネットワークにリアルタイムでつながることができるという重要な違いがあります。漁に出ている無数の漁船からは海面の上下動のデータがリアルタイムで提供されるようになるかもしれません。もしそうなったとしたら、津波被害もさらに早く防ぐことができるかもしれません。

 2011年の悲劇に立ち戻ると、宮城県の七十七銀行女川支店では津波を避けるために銀行の屋上に避難した行員たちが亡くなりました。2階建てのビルの屋上を超えてくる津波が来ると想定していなかっただけでなく、場所的にも震源地に近いので判断猶予の時間もほとんどなかったはずです。それでももし高さ10mを超える津波が来るというリアルタイム情報があれば、小高い丘に逃げる時間はあったといいます。

 この5GとIoTを用いた震災情報ネットワークはその運用が整うまでには、まだこれからの10年を必要とするかもしれません。

 実際、震災の5年後、2016年に起きた熊本地震ではまだこの情報共有は進んでおらず、被害の起きた熊本県と大分県のお互いが持つ地震データを共有するまでに2週間かかったと反省されています。官が持つ公共データですらそうなのですから、民間データも含めた仮想的な巨大災害情報ネットワークが機能するまでにはまだ道のりは短くはないわけです。