大震災後も変わらない
地震リスクと人命の大切さ

 しかしそれでも前に進む意味は、大震災後も変わらない事実があるからです。それは日本列島にはつねに地震リスクが存在することです。

 中でも、やがてやってくる可能性がある首都圏巨大地震と南海トラフ地震のリスクはどちらも心配です。どちらも東日本大震災を凌ぐ災害になる可能性が高い一方で、守れる命の数を増やすことができる余地も大きいと考えられます。

 南海トラフの地震はその周期性から特に2030年代のリスクが高いと考えられています。南海トラフでは過去90年から150年ぐらいの周期で繰り返し大地震が起きていて、前回が1944年と1946年に起きた昭和地震、前々回がその90年前にあたる1854年の安政地震なのです。

 次にこの大陸プレートの境界線で大地震が起きると、四国から東海にかけての広い範囲で津波被害が起きることが予想されています。そしてそれまでにIoTベースのリアルタイム情報把握の連携が完成すれば、それだけ多くの命を救うことができるわけです。

 東日本大震災、阪神・淡路大震災、西日本豪雨、熊本豪雨、令和元年の台風15号と19号。近頃の天災は忘れたころにではなく、比較的頻繁にやってきます。そして10年たっても変わらないことは命の大切さ。変わっていくことはそれを防ぐための人類の知恵であり、技術の進歩です。

 残念ながら次の災害がいつの日か確実に起きるでしょう。それまでにどれだけわたしたちが先に進むことができるのか。その日が来ることを震災から10年たった今、忘れずに進んでいくことが大切なのです。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)