今年2月26日には、GPSでの「見張り」を規制対象に追加する改正案が閣議決定された。今国会で審議される予定となっている。
改正への後押しのため、評論家の荻上チキさんらが中心となって「ストーカー被害の実態を明らかにするための量的調査」を行った。冒頭の記者会見は、この調査結果を発表するためのものだった。荻上さんらは、この調査プロジェクトについてのクラウドファンディングを実施中だ。
内澤さんらプロジェクト関係者が記者会見の中で求めたのは下記の3点。
(1)ストーカー規制法第二条一の「つきまとい」には、GPSによる監視も含まれることを明示すること
(2)「恋愛感情またはその他の好意の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で」という前提条件の廃止
(3)犯罪に至る前で警察と医療の連携を義務化すること
前述の通り、2月26日に閣議決定された改正案の中では、許諾を得ないで位置情報を取得することや、位置情報記録装置を取り付けることが規制の対象に加えられている。今国会で成立すれば、夏頃には全面施行される見通しと報道されている。
一方で、(2)(3)の論点については改正案に盛り込まれていない。今回の改正に向けての報告書はGPSを規制対象に加えるかの議論にほぼ絞られており、(2)(3)のような論点については、今後の世論や議論の深まりが重要となってくる。
ストーカーの全てが
恋愛感情ゆえとは限らないが……
(2)(3)の論点はどのようなものだろうか。
(2)については、つまり現在のストーカー規制法では、つきまといの動機が恋愛である場合のみが規制の対象である問題を指摘している。
「たとえば現在交際中の恋人の以前の恋人から付きまとわれ侮辱的なことをSNSに書かれたとしても、ストーカー規制法には抵触しません。恋愛もしくは好意の感情が被害者と加害者の間に存在しないからです。同じ行為をされても動機が違うだけで、適用にならない法律っておかしいとは思いませんか」(上記クラウドファンディングサイトから)