いろいろ知っておきたいワンランク上の就活方法

 とはいえ、目の前の就活において納得できる結果を得るためには、やはり、就活市場の変化を踏まえた対策と行動を心がけたい。

 就活にあたって役に立つ、ワンランク上の就活テクニックを株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソースの福重敦士氏のインタビューからいくつか紹介しよう。

 まず、就活の初期段階で行う業界研究や企業研究の上手な取り組み方についてだ。今後、誰もが知っている大手企業、有名企業ほど“厳選採用”にシフトすると考えられる。就活を成功させるためには、自分に合った“隠れた優良企業”を見つけられるかどうかがより重要になっていく。規模や知名度ではなく、自分の志望や適性に合った納得度の高い就職を実現することは、これから長く続く自らのキャリアにおいて、最良のスタートを切ることにつながるだろう。

 そこで福重氏がアドバイスするのが、「興味ある企業名・業界名+展示会」というワードでのインターネット検索だ。たとえば、製薬業界に興味があるなら、「製薬+展示会」と検索窓に入力してみるのである。

 こうすると、業界別・業種別に、数十社、数百社が出てくる。その中から、規模や事業内容などを基準に面白そうな企業を探してみればよい。

 また、“隠れた優良企業”を探すには、興味ある企業の「横」(同業他社)だけでなく、「縦」の関係で調べるのもおすすめだという。「縦」の関係とはお金の流れのことで、お金が出ていくのは原材料や資材の調達先、お金が入ってくるのは製品やサービスの販売先だ。業界や企業を「横」「縦」の両方から調べると、第一志望の企業にアプローチする際にも役立つので一石二鳥である。

 ESや面接での「ガクチカ」について、学生はアルバイトやサークルでの体験を重視しがちだ。それに対し、企業側が注目しているポイントでは、「対人コミュニケーション力」や「ストレス耐性」「基礎学力」などが上位に並ぶ(図表17参照)。学生と企業では、目の付け所がずれていることを意識しておきたい。

 もちろん、アルバイトやサークルでの体験を語るのは悪いことではないが、そこにこだわりすぎて、「それほどアルバイトやサークルの体験でPRできるようなことはない」と不安に感じる必要はない。企業側はどんなアルバイトをしたか、サークルでどのような結果を出したか、といったことは、実はあまり重視していないからだ。むしろ、「ガクチカ」の材料は普通のアルバイトやサークルの体験で構わない。大切なのは、その体験において、自分はどのようにコミュニケーションを工夫したのか、努力したのか、どのような気づきがあったのか、ということだ。

 社会に出てからの仕事も、日々、ごく普通の、当たり前の繰り返しである。それに対してどういう意識と姿勢を持って取り組み、よりよい結果を目指して努力するかが問われる。先ほど、「大人の言葉」での表現力を指摘したが、まさに企業が重視しているのはそうした意識や姿勢ではないだろうか。ESや面接においては、常に“気づき”と共にある意識や姿勢を持つ人材であるということが人事担当者や面接官に伝わることが大切なのである。

 福重氏は、面接やグループディスカッションでの対応についても次のようにアドバイスする。

 よく、人事担当者が最後に「他に何か聞きたいことはありますか?」といった質問をする。それに対し、「特にありません」というのではもったいない。「自分では○○までは調べたのですが、△△についてはよく理解できませんでした。その点について教えてください」といった簡潔な返しができると好印象だ。事前準備をきちんとしていることを伝えつつ、さらに自分なりの問題意識や視点をさりげなくアピールするのである。「大人の言葉」での表現力の具体例といえるだろう。

 もうひとつ、最終面接当日の行動について。

「会社付近に、1時間前に着くようにします。そして、近所の喫茶店やお昼時なら食堂などに入り、その会社の社員になった自分が会社帰りにコーヒーを飲んだり、ランチをしているところを想像しながら指定の時間まで過ごしてみてください。最終面接の場でも、社員感覚で落ち着いて受け答えができるはずです」(福重氏)

就活に親子で臨む心構えと「ワンランク上」の4つのテクニックを伝授「息子・娘を入れたい会社2021」から転載
*データはダイヤモンド・ヒューマンリソース「21卒採用アンケート調査(企業対象)」より
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次稿(4月28日公開)に続く