「ほかの人の気持ちを考える」ことは
就学前の子どもには難しい
こんなふうに、大人は「子どものことはわかっている」と思いがちなんですが、じつはわかっていないことも多いんです。
こんな実験があります。
「赤い家と青い家」という心理実験です。
森の中に赤い家と青い家があります。そこへオオカミから逃げているサルがやってきて、あなたに「赤い家に隠れるね」と伝えました。
そのあとオオカミが現れて「サルはどっちに逃げた?」とあなたに聞きました。
皆さんなら、どう答えますか?
そう、皆さんは他人の立場を想像することができるので「青い家」と答えますよね。
この実験の結果は、5歳児くらいになると「青い家」と答えることができるんですが、3歳児くらいのお子さんの多くは「赤い家」と答えてしまうんです。小さいお子さんはまだ誰かの立場に自分を置き換えて考えることは難しいからです。
だから、小さい子に「ほかの人のことを考えてあげて」というのはあまり効果がないんです。
こういうことを知っていると、お子さんの立場でいま何を考えているのかということがわかり、伝え方が変わってくると思います。
たとえば、朝、早くおうちを出なくてはいけないのにお子さんがなかなか外に出てくれないとき。「早くしなさい!」とだけ言ってもなかなか聞いてくれないですよね。
だけど、子どもをひとりの大人だと思って、こんな楽しい提案をしたらどうでしょうか?