2型糖尿病(2DM)といえば肥満のイメージが強いが、日本の若い女性は「痩せすぎ」がリスクになるようだ。
栄養過多・運動不足で肥満傾向著しい高所得国にあって、日本女性のほぼ1割、20代の女性では21.7%、5人に1人は体格指数(BMI)が18.5未満の低体重だ。健診データを利用した調査からは、40~79歳で低体重の女性は、標準体重の女性よりも、2DMの発症リスクがおよそ2倍高いことが知られている。しかし、若い女性については実態が把握されていなかった。
順天堂大学の研究グループは、心身が健康な18~29歳の低体重女性(BMI:16.0~18.5未満)98人と、標準体重(同18.5~23.0未満)の女性56人に対し、糖尿病の診断にも使われる経口ブドウ糖負荷試験を実施。次いで、血糖を処理するインスリンの分泌状態や脂肪細胞、骨格筋のインスリン感受性などを調べた。
その結果、低体重の女性では、2DM予備群ともいえる「耐糖能異常」の比率が標準体重の女性よりも、およそ7倍高いことが判明した(13.3% vs 1.8%)。
ちなみに、この13.3%という数値は、米国の肥満女性(BMI30以上、19~34歳)のうち耐糖能異常がある10.1%を上回る。
また、低体重の女性は標準体重の女性より筋肉量が少なく、身体活動量が23%少ないこともわかった。エネルギー摂取量も低く(マイナス256キロカロリー)、食べない→運動しない→痩せ、という典型的な「エネルギー低回転タイプ」であることが判明した。
しかも、低体重/耐糖能異常の女性は脂質の処理が追いつかず、血中に脂肪酸があふれ出して代謝を狂わせる「インスリン抵抗性」が誘発されているようだ。この代謝異常は肥満の中高年に特有のものと思われていたのだが――。
研究者は、総摂取エネルギーに占める脂質の割合を減らし、適度に運動するよう提案している。
さて、外見がすっきりしても中身がウエスト径の肥大に悩むメタボ中高年と同じでは元も子もない。健康は幸福な人生の要素なのだから極端な制限はほどほどに。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)