では、実際どのような運動を行っていけばよいのでしょうか。

 立ち上がって1分間歩きまわったり、ストレッチやマッサージを行ったりするだけでも腰への負担を軽減させる効果があります。もう少し時間が取れるようなら外に出て気分転換がてら散歩をするのもよいでしょう。

 YouTubeなどに短時間で簡単にできる運動動画も紹介されているので、それを利用するのもよいかもしれません。

 一定時間おきにストレッチを行うことが大変という人は家事を利用するのはいかがでしょうか。

 お昼に食べたご飯の食器を洗ったり、洗濯物を干したり取り込んだり、掃除をすることで「座り続ける」という状態を回避することができ、腰への負担を軽減することができます。トイレに定期的に行くのも効果的ですね。

 シドニー大学が世界20カ国の国民を対象に行った調査によると、日本人は一日で平均して最も長く座っている国であったといいます。在宅勤務によってその傾向はますます強まっているといえるでしょう。

 この機会にぜひ生活習慣から見直していくことをおすすめします。

 そして、個人の努力はもちろんですが、会社としても在宅などで働く環境の整備を「自己責任」とするのではなく、積極的に援助を行って環境を整える手助けを行うことが大切だと考えます。

(監修/池井佑丞医師)

池井佑丞/産業医、株式会社リバランス代表。2008年、医師免許取得。内科、訪問診療に従事する傍らプロ格闘家として活動し、医師/アスリートの2つの立場から「健康」を見つめる。自己の目指すべきものは「病気を治す医療」ではなく、「病気にさせない医療」であると悟り、産業医の道へ進む。労働者の健康管理・企業の健康経営の経験を積み、現在は大手企業の統括産業医のほか数社の産業医として、従業員約1万人の健康を守る。