臨時国会の開催をめぐり、与野党が互いの腹を探り合っている。選挙制度改革、社会保障制度国民会議の設置と並び、最大の開催目的が赤字国債を発行するための特例公債法案の成立だ。これがいまだに成立していないため、11月末にも新規国債の発行がストップし、国債価格が不安定化しかねない状況に直面している。
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「11月27日には底を突く」。日本国債の年間発行計画を立てる財務省理財局が今、こんなシミュレーションを始めている。
これは、毎月約10兆円ペースで安定的に新規発行している長期国債の入札が、早ければ11月末にもできなくなるというもの。11月中の入札予定を見ると、1日(2.3兆円)、8日(0.4兆円)、13日(2.5兆円)、15日(1.2兆円)、そして27日(2.7兆円)となっている。
ところが、このままでは27日の入札額が2.7兆円に達せず、12月4日(2.3兆円)に至っては「入札を延期せざるを得ない状況」(齋藤通雄・理財局国債企画課長)というのである。
理由は単純だ。2012年度予算(90.3兆円)の4割強を担う赤字国債を、いまだ1円たりとも発行できずにいるからである。今年度の赤字国債の発行根拠となる法案、通称「特例公債法案」が未成立のままなのだ。
財政法は原則、国の歳出を税収と税外収入で賄うと定めている。ただし、将来世代に残せるような資産に充てる場合には、「建設国債」の発行のみを認めている。
だが周知の通り、これだけでは社会保障費などを支払えない。そこで毎年、財政法の“特例”として法案を通した上で、赤字国債を発行する立て付けになっている。
この法案が通らず、財務省は国債発行計画の変更を余儀なくされた。赤字国債以外の借換国債、建設国債、復興国債、財投国債を前倒しで発行し、何とか毎月の発行ペースを維持しているのが現状なのだ。だが赤字国債以外の弾も、いよいよ11月末には払底する。