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かつて人々の緩やかなつながりを生んでいたTwitterなどのSNSでは“分断”が生まれ、“炎上”も絶えません Photo:SOPA Images /gettyimages

TwitterやFacebookなどのSNSは、かつて人と人との緩やかなつながりを生んだり、役に立つ情報が投稿されたりと、“性善説”の下で私たちの世界を広げてくれるものだった。しかし、今やSNS上では人々の“分断”が生まれ、発信した人がやり玉に挙がる炎上も多発している。では、SNS上での分断や炎上はどうすれば防げるのか。及川卓也氏が自らの経験から、その方法について語る。

TwitterやFacebookなどのSNSで
私たちの世界は格段に広がった

 TwitterやFacebookなど、2000年代後半から登場したSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)によって、私たちの接する世界は格段に広がりました。フェイクニュースやヘイトスピーチなど、最近は問題点ばかりが目につくようになってしまいましたが、SNSにより得られたもの、良くなったことはたくさんあります。

 私も2007年ごろから、日本で流行するSNSは片っ端から試していって、現在はTwitterを主に使っています。最初はSNSを使うことで何が得られるかは分かりませんでしたが、くだらないことから専門的なことまで、いろいろなことをつぶやいてきました。

 SNSというと、私の原体験にあるのは、Twtterを通じた思いもかけない出会いです。ある日の夕方、オフィスで「ハンバーガーが食べたい」というツイートを見かけて「私も食べたい」と返信したところ、ほかのフォロワーの人からもいくつか返信がありました。そして、なぜか面識のない4人が集まって、下北沢のヴィレッジヴァンガードダイナーへハンバーガーを食べに行くことになったのです。

 顔を合わせたのは、開発者やウェブサービスの担当者など。その後、4人で「ハンバーガー探検隊」を結成して、しばらくは月に1度ほどのペースで、いろいろな場所のハンバーガーを食べに行く会を催していました。当時のメンバーとはその後、仕事での相談を受けたり、一緒に仕事をすることになったりといったつながりもできて、今でも緩やかにつながっている関係です。

 今月で発生から10年が過ぎた東日本大震災の際も、Twitterは情報源としてとても役に立ったことを覚えています。2011年3月11日、私は六本木ヒルズにいました。交通網が遮断され、「ここを通ってこのルートで行けば帰れるだろうか」「ここまでは歩いたことがあるから、そこからあのルートで行けば良さそうだ」などとツイートを見ながら、帰る算段をしていました。すると、いろいろな人が「その経路なら、近くだから様子を見てきましょう」と言って、実況してくれたのです。

 その後の数日は私自身も、通勤時の交通や周りの状況を「他の人の役に立てば」と思い、発信していました。あのときはデマもいろいろとありましたが、役立つ情報もたくさんあったのです。当時はまだ、SNSは性善説の世界にありました。2011年の震災までは、むしろSNSには恩恵ばかりあったのではないかという気もします。