でも、逆に考えるなら、そういった「みんなをハッピーに」している会社は、今の日本ではなかなか見つけられないということでもあります。ただ、ベテラン社会人からすると、「仕事はそんなものじゃない、欲張りすぎだ」と言いたくなるかもしれません。
ですが大塚製薬の例を見る限り、そう決めつけるのは早計に思えます。それどころか、「みんなをハッピーに」していることが顧客満足を生み、利益を上げ、さらには社外の人材を引き付けるというポジティブな効果をも生んでいるのです。
「Winの累乗」という新しいグローバル戦略
「みんなをハッピーに」すること、言い換えると働く人とその人を取り巻く環境に「Win」を作ると、その「Win」は相乗効果を起こし、自己増殖をはじめて、どんどん広がっていく。ビジネスの現場でよく聞かれる「Win-Win」が2者間の関係を指す言葉なら、こちらは「Winの累乗」とも言うべき現象です。
この発見をおもしろく感じた僕は、「Winの累乗」を実現すると、ビジネスとしても成功するのではないか、という仮説を立てました。
手始めに僕の属するNPOの世界で周りを見回してみると、確かに世界的なムーブメントと呼べるような、グローバルに広がっている社会貢献活動を推進するNPOではそれが実現されているように見えます。意図してかどうかは別にして、活動に関わる人たちすべてに「Win」を生みだしているのです。
では、関わる人すべてに意図的にWinを作るためにはどうすればよいのでしょう?