株式対価M&Aの制度を新設
株式会社が被買収会社を子会社とするためには、(1)株式交換、(2)買収会社の株式を被買収会社に現物出資する方法、(3)産業競争力強化法に基づく株式対価M&A――を用いることが考えられる。しかし、株式交換は買収会社が被買収会社の株式を100%取得することが前提になる。また、現物出資を用いる場合には、原則として裁判所が選任する検査役による出資財産の調査が必要となることなどが障害となる。産業競争力強化法を活用するとしても、手続きが煩雑である。
そこで、2019年度会社法改正により、株式対価M&Aの手法の一類型として株式交付が創設された(次ページ図表)。例えば、A社がB社を子会社とするために、B社の株式を譲り受け、B社株式の譲渡人に対して、その対価としてA社の株式を交付することが可能となった。この株式交付は検査役の調査などの手続きを要しないため、今後、M&Aの一手法として活用されると期待されている。