米国ビジネススクール講師である著者が、グローバル人材のための「決算書の読み方」を伝授する本連載。基礎編で学んだ決算書をベースに企業のビジネスモデルを検証していきます。
今回は米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)と同じテクノロジー業界に長年存在してきた、米Microsoft(以下マイクロソフト)を取り上げます。マイクロソフトの扱う「Windows」や「Microsoft Office」など個別の商品・サービスは知っていても、スマートフォン時代に乗り遅れてしまったという昔のイメージを引きずっている人もいるのではないでしょうか。
実は、マイクロソフトはGAFAに引けを取らない利益率をたたき出すエクセレントカンパニーの一つに生まれ変わったのです。本日は1975年に誕生した老舗IT企業である同社が、いまだに成長し続ける巨人である理由を検証していきましょう。
では、いつものように早速クイズを始めていきましょう。本日はマイクロソフトと米IBMを比較してみたいと思います。両社のビジネスは厳密には異なります。しかし、IBMはマイクロソフトと同様に法人企業へのサービスを得意としていて似ている箇所も多いため、比較対象に選びました。
マイクロソフトのBSはどちら?
下図は両社のBS(貸借対照表)です。AとBのそれぞれどちらがマイクロソフトとIBMか当ててみましょう。
クイズのヒントとして各企業概要をまとめます。
● マイクロソフト…75年にビル・ゲイツ氏とポール・アレン氏の2人によって創業されました。85年には家庭向けパソコンOS「Microsoft Windows」の最初のバージョンを発売。翌年3月にナスダックへの株式上場を果たすと、89年に「Microsoft Office」を発表。95年には「Windows 95」発表、PC用OSについては独占的な地位を確立しました。スマホ対策に遅れを取りましたが、クラウド事業の本格展開を機に企業価値を再び向上させました。
● IBM(International Business Machines Corporation)…1911年にComputing-Tabulating-Recording Co.(C-T-R)」として米ニューヨーク州で設立。1924年に現在の社名に変更。特許取得数では93年以来、世界1位の座を維持し続けています。ハードディスクやATM(現金自動預け払い機)など、IBMの発明は多岐にわたります。現在はWatsonのようなAI事業やクラウド事業などに軸足を置いています。
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では、次ページで正解と解説をお伝えしましょう。