最初から完璧を求めない

 そして、情報システムをつくるときは、最初から完璧なものをつくらないと決めた。

 ITベンダーはこちらの業務がわかっているわけではないし、こちらの社員もITのことがさっぱりわからない。

 わからない同士だから、まずは最小限のシステムをつくり、それを拡張しようと考えた。

 ITの開発は動作の試験が重要だ。たとえば100の機能があったら、一番使いそうな10の機能までつくる。

 その後、使用しながら必要な機能をリストアップし、10の機能を追加する。多くの企業は考え抜いて最初から100の機能をつくってしまい、実際には10~15しか使わない。

 それよりも10の機能だけをつくって絶えず手を加えたほうがいい

 動作試験は二度手間になるが、はじめから完璧を目指すより効率がいい。

土屋哲雄(つちや・てつお)
株式会社ワークマン専務取締役
1952年生まれ。東京大学経済学部卒。三井物産入社後、海外留学を経て、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発し大ヒット。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役など30年以上の商社勤務を経て2012年、ワークマンに入社。プロ顧客をターゲットとする作業服専門店に「エクセル経営」を持ち込んで社内改革。一般客向けに企画したアウトドアウェア新業態店「ワークマンプラス(WORKMAN Plus)」が大ヒットし、「マーケター・オブ・ザ・イヤー2019」大賞、会社として「2019年度ポーター賞」を受賞。2012年、ワークマン常務取締役。2019年6月、専務取締役経営企画部・開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当(現任)に就任。「ダイヤモンド経営塾」第八期講師。これまで明かされてこなかった「しない経営」と「エクセル経営」の両輪によりブルーオーシャン市場を頑張らずに切り拓く秘密を本書で初めて公開。本書が初の著書。