【ポイント3】
「ほめてつる」のが目的化していないか?

なぜ、ほめているのかを意識し直しましょう。

よくできた!と思った感動を表したり、教育的なサポートをするのはいいですが、ほめることで子どもの行動をコントロールしようとしてはけません。

そうしてしまうと、子どもは敏感なので、親が自分をコントロールしたいためのほめ言葉と察知し、その後のほめ言葉を変にとらえるようになったり、子どもとの関係性が悪化したりしてしまいます。

また、子どもをほめ、そのよい行動が繰り返された場合は危険です。

その子は親のほめ言葉をさらに期待した行動をとるようになり、ほめ言葉自体がお小遣いなどと同様、「報酬化」してしまうのです。

「報酬化」してしまうと、報酬のないときは一切やらなくなります。

それでは本末転倒なので、「報酬化」しないように注意しましょう。

【ポイント4】
能力を比較していないか?

子どもができたことをほめるときに、「クラスで一番ね!」「誰々よりできた」と他の子と比較してしまうことがあります。

気をつけていてもつい出てしまうでしょう。

こうした他者との比較によるほめ言葉によって、子どもは一時的に強く動機づけられることがわかっています。

しかし、長期的には問題です。

場所が変わったり、順位や比較的な評価が悪くなることが将来必ず起こります。

そうしたときに、現在の環境での比較では、モチベーションが崩れかねません。

また、比較でほめるのは、前述の才能や性格でほめるよりたちが悪いこともわかっています。

ただ、他者との比較は小学3、4年くらいから意識し始める子が多いので、それより小さい子であれば、問題が少ないようです。

まだ、お子さんが小さい方は、ぜひ気をつけてみてください。

子どもの能力をほめる場合は、

「今のそれ、すごい上手」

など、その場でできたことを肯定的に評価するのが効果的です。

なぜ能力があるといえるのかがわかりやすい形で説明しましょう。

以上、4つのポイントは、どれも社会心理学の研究のエビデンスが積み重なったものです。それらを意識して、差のつく子どものほめ方を実践してみましょう。

星 友啓(Tomohiro Hoshi)
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長
経営者、教育者、論理学者
1977年生まれ。スタンフォード大学哲学博士。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。教育テクノロジーとオンライン教育の世界的リーダーとして活躍。コロナ禍でリモート化が急務の世界の教育界で、のべ50ヵ国・2万人以上の教育者を支援。スタンフォード大学のリーダーの一員として、同大学のオンライン化も牽引した。スタンフォード大学哲学部で博士号取得後、講師を経て同大学内にオンラインハイスクールを立ち上げるプロジェクトに参加。オンラインにもかかわらず、同校を近年全米トップ10の常連に、2020年には全米の大学進学校1位にまで押し上げる。世界30ヵ国、全米48州から900人の天才児たちを集め、世界屈指の大学から選りすぐりの学術・教育のエキスパートが100人体制でサポート。設立15年目。反転授業を取り入れ、世界トップのクオリティ教育を実現させたことで、アメリカのみならず世界の教育界で大きな注目を集める。本書が初の著書
【著者公式サイト】(最新情報やブログを配信中)
https://tomohirohoshi.com/