アウトスキリング
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デジタル時代に新しく生まれる職業や職務に対応するため、従業員が必要なスキルを新たに獲得する「リスキリング」。欧米では2016年ごろから浸透しつつあったが、ここにきてリスキリングの新しい形といえる「アウトスキリング」に注目が集まっている。リクルートワークス研究所の後藤宗明・特任リサーチャーが、このアウトスキリングの実態とともに、日本企業での実施について解説する

人員整理対象の従業員のスキルチェンジを支援
「アウトスキリング」が生まれる7つのトレンド

 アウトスキリングとは、人員整理の対象になる従業員に対し、解雇になる前にリスキリングの機会を提供し、成長産業への転職を支援するものです。

 欧米でアウトスキリングに注目が集まっている一番の理由は、新型コロナウイルス感染症の蔓延による経済状況の悪化によって、企業が生き残りをかけたダウンサイジングを始めたことです。しかし、決してそれだけが理由ではありません。ここにいたるまで、さまざまな社会の変化が積み重なってきた結果でもあります。

 そこでまずは、なぜ今「アウトスキリング」という新潮流が生まれているのか、7つのトレンドから解説します。

(1)従来型人員整理の弊害

 人員整理やリストラと聞くと頭に浮かぶのは、憔悴した表情で段ボール箱を抱えてオフィスを出て行く従業員の姿でしょうか。人員整理が起きると、それを免れた従業員たちも「次は自分かもしれない」とおびえながら、上司の命令にひたすら従う日々を過ごすことになります。

 人員整理が繰り返されると、企業の評判も、従業員の士気も低下し、商品ブランドや企業ブランドまでもが毀損されます。近年では、多くの経営者がその点を理解しはじめていました。