(2)アウトプレースメントの限界

 人員整理の対象になる従業員に対して、円滑な再就職の支援を行う「アウトプレースメント」は、現在、巨大産業になっています。ある企業でリストラの対象になる人であっても、他の産業などの同職種で再就職ができる時代であれば、企業はアウトプレースメント・サービス事業者に委託して、辞めてもらう従業員に対する新しい就職先を斡旋してもらえました。

 しかしこれからは、デジタル化とオートメーション化により、多くの職種や職務自体が労働市場から消失していくことが増えるでしょう。そうなると、今持っているスキルのままでは、再就職できる場所がどこにもない状態になりかねないのです。

(3)辞めた従業員との関係性

 近年では、退職した従業員ともつながりを保ち続け、機会があれば一緒にプロジェクトなどを行ったり再入社を実現させたりする「アライアンス」という関係性が生まれています。

 アライアンスは、LinkedInの創業者であるリード・ホフマン氏が提唱した、新しい個人と企業のつながり方を意味しますが、アライアンスを実現させるためには、辞めていく従業員が勤務先に対して、どのような気持ちを持って退職したかが重要になります。単なるリストラや強硬なアウトプレースメントは、その意味では「最悪」な選択肢になるのです。

(4)スコアリング文化の浸透

 米国を中心にサービスを展開している「Glassdoor」は、働いている、もしくは過去に働いていた人や採用面接などを受けた人たちが、企業に対する評価や環境を書き込む口コミサイトです。

 こういった口コミサイトの影響力は強く、仕事を探している人たちは、次に面接を受ける企業がこれらのサイトで何点の評価を受けているかを、常に参考にしています。つまり、個人が情報発信するすべが増えた現代では、退職者でも、企業に対して影響を与え続けられるようになっているのです。