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新CEOマリッサ・メイヤーは
ヤフーを生き返らせることができるか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第217回】 2012年10月25日
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 その上で、モバイルへ注力することも打ち出した。ウェブ開発にあたっているエンジニアらの半分をモバイルへ移行させる。そうして、同社がこれまで弱かったモバイル市場へ切り込もうというわけだ。

 検索の機能アップにも言及している。現在、マイクロソフトの検索技術を統合しているものの、機能面でも収入配分の面でも今ひとつ満足していないことも匂わせている。契約が切れる来春に何か大きな動きがあるか、あるいは独自に使い勝手を作り替えるようなことになると見られている。

レイオフや超高額買収は行わない
今までのCEOと異なるマリッサの考え方

 こうした戦略と共に、これまでとはちょっと違ったCEOかもと思わせたのは、レイオフや買収に対する考えを述べたところである。

 コストカットのための大掛かりなレイオフは、新CEOの常套手段にもなっているのだが、メイヤーはレイオフをしないで社内で人員移動をさせるとした。これは、あまり聞かない稀なアプローチだ。ヤフー社員は、さぞかしホッとしていることだろう。

 また、企業買収も数千万ドルから、高くても1億ドル程度までの規模に留めて、何十億もするような大きな買収を行わないとしている。つまり、キラリと光る技術を持つ小さなスタートアップを買収して、技術を統合するということだろう。そこからは、ヤフーを少しずつ向上させていこうという手堅いアプローチが感じられるのだ。

 もちろん、この方法が成功するかどうかはわからない。モバイル戦略に出ると言っても、グーグルやアップル、マイクロソフトのようにモバイルOSを持たないヤフーにとって、できることは限られているかもしれない。

 だが、これまで数代のCEOと違って、技術をくまなく知り、現在のヤフーの状況を深く勉強した上で、着実、堅実な戦略を採る。マリッサ・メイヤーからは、そんな印象が伝わってくる。彼女の手によって本当にヤフーが生き返ったら、シリコンバレーの新伝説になることは間違いない。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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