新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、飲食店がクラファンを行うケースが増えてきた。その一方で、「生涯無料パスポート」を見返りとした水戸市の納豆ご飯専門店のクラファンが裁判沙汰になるなど、飲食店側と支援者側にとってのリスクも存在する。(マーケティングコンサルタント 新山勝利)
増加傾向にあるクラファン
一方でそのリスクも
新しい視点に着目したサービス、ありそうでなかった商品、ニッチなテーマの書籍の出版、映画や音楽などの製作・配給、新興アスリートや運営団体の支援、難病患者へのサポート、地域の町おこしや被災地の復興……。
このような、新たな企画やアイデア、プロジェクト、課題解決をはかるための商品やサービスなどの起案者が、専用のWebサイトを通じて賛同を呼びかけ、それに共感した者たちが資金を提供する。この一連の行動を「クラウドファンディング」、略して「クラファン」と呼ぶ。
「クラウドファンディング」は、もともとは「クラウド」(Crowd=群集)と「ファンディング」(Funding=資金調達)を組み合わせた造語であり、2000年代の終わりの米国において、投資家(エンジェル)の力を借りずに資金調達する手段として、インターネットの普及とともに発展した。
日本においては、2011年に発生した東日本大震災の際、被災地の復興支援の資金を集める手段として注目が集まり、普及してきた。
「クラファン」は増加傾向にあり、2011年に設立されたクラファン専用のプラットフォーム「CAMPFIRE」は、2021年3月までの流通総額が国内最速で400億円を超えた。
さらには、この1年の新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、飲食店がクラファンを行うケースが増えてきた。売り上げ不振時の資金調達としてだけでなく、新規の顧客の獲得や、顧客とのつながりを再構築できる仕組みづくりとして有効であるからだ。
その一方で、当然、リスクもありうる。