面倒で大変で実りが少ない扶養照会は、なぜ「必要」とされているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

厚労省が認め始めた
扶養照会の「不要」照会ぶり

 3月30日、厚労省は生活保護の扶養照会に関する事務連絡と課長通知を発行した。「本人がイヤなら、扶養照会を止めることができる」という内容を含む、かなり画期的な内容だ。

 扶養照会は、生活保護を申請しようとする人や、生活保護で暮らしている人の3親等内の親族に対して行われてきた、「援助できませんか?」という問い合わせである。金銭的援助が可能な親族がいて仕送りを行うと、保護費はそのぶんだけ差し引かれるため、本人が使える生活費は変わらない。しかし行政にとっては、「保護費が減らせる」というメリットがある。

 もっとも各種の調査によれば、実際に仕送りを受けることができた事例は、多くとも1%に達しない。今風に言えば、充分に「実家が太い」場合は、「生活保護しかない」という状況にはなりにくいのである。

 生活保護を必要としている本人にとっては、申請すると扶養照会が行われることは、大きな障壁である。なにしろ、「生活保護を申請した」ということを親族に知られてしまうのだ。それまでの関係が良好であっても疎遠であっても、生活保護と扶養照会によって関係が改善することは少ない。それどころか、良好だった関係は壊れ、疎遠だった関係はさらに疎遠になる。「せっかく虐待やDVから逃げてきたのに、相手から逃れられなくなる」という事例もあった。

 生活保護の申請を受け付ける福祉事務所にとっても、扶養照会は大きな負担である。3月に公開された調査結果によれば、現役福祉事務所職員のうち約70%が「扶養照会は負担」だと感じている。扶養照会は必須とは言えないが、「しない」という判断には根拠が必要だ。根拠があやふやだと、監査の際に「なぜ、扶養照会しなかったんですか」と突っ込まれて困るかもしれない。