生活保護世帯数が高止まっていた要因

 なぜ、03年から失業者が減っているのに生活保護世帯が減らないようになったのだろうか。下の図2は、生活保護世帯の内訳を見たものである。

 注目すべきは、生活保護世帯のうちの高齢者世帯と、その他世帯の動きだ。高齢者世帯は、失業者数の増減にかかわらず伸びている。

 考えてみると、高齢者はそもそも働けない人が多いのだから、失業者数が減少しても働けるようになるわけではない。

 もう一つは、その他の世帯の09年からの急上昇と高止まりだ。その他の世帯とは、高齢者世帯、母子世帯、障害者・傷病者世帯を除く世帯である。

 母子世帯、障害者・傷病者が働くことが困難で、生活保護を受けやすい状況にあることは理解できる。ところが、これらを除くその他世帯によって、生活保護世帯数が増加しているのである。

 要するに、数字だけでいえば、高齢者世帯、その他世帯が増加したことが、失業者が減少しても生活保護世帯が減らなかった理由である。