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皆が望んだ、コロナ克服による経済正常化は、そのプロセスで、株式などさまざまな相場に波乱をもたらすだろう。今は超ド級の金融緩和を背景にした超ド級の金融相場がクライマックス局面へ向かう「高値波乱含みながらまだ上げ潮」という状況にある。その相場内部で何が起こるか、投資家はどのような情報環境に置かれるのか、陥りがちな身近なワナとは何か。(田中泰輔リサーチ代表 楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー 田中泰輔)

コロナワクチン接種進展と
大型経済政策で米国景気回復加速

 2021年、米国の景気回復は加速し、GDP(国内総生産)はデフレギャップ(需要不足)解消どころか、一気にインフレギャップ(需要超過)の領域へ進む公算だ。政策面では、空前の金融緩和に、バイデン政権の超ド級の財政政策が加わった。また、コロナワクチンの接種も国家戦略的に半年でやり遂げようという勢いである。

 コロナ克服によって経済が正常化することは、誰もが望んできたことだ。しかし、この正常化プロセスが波風なく進行するとは想定できない。ポストコロナへ地域・セクター・階層などさまざまな領域の跛行、突飛な政策の着地から、資産市場の高値波乱とバブル的相場の終わりへと懸念は尽きない。

 逆に、政策当局にとっても、このプロセスのもろもろのリスクは明々白々だ。したがって、22年に中間選挙を迎えるバイデン政権も、経済正常化への軟着陸を目指すFRB(米連邦準備制度理事会)も、相場の行き過ぎを抑えつつ、他方でひどい下振れも許容せず、政策のスムージング(平滑化)に腐心するだろう。

 投資家は、コロナ相場のクライマックスへ、まだまだいけると楽観に傾いたかと思うと、高値波乱の相場にも、材料解釈の明暗変転にも悩まされやすいステージと予想する。

 コロナ禍という危機からの回復過程は、通常の景気回復とはかなり様相を異にするだろう。まず図表1で、通常の景気と市場(株式、金利、ドル)のサイクル変遷を整理する。