ビジネスパーソンなどに
安価な自費接種も開始

 台湾ではワクチンの自費接種が、4月21日から台湾全土31の病院で始まった。自費接種の対象は、ビジネス、海外就労、留学、海外での医療機関受診など人道的配慮が必要な人としている。経済活動を停滞させない目的が明らかだ。

 自費接種と聞くと、さぞ高額ではないかと考えるかもしれないが、たった600元(約2350円)でアストラゼネカ製のワクチン接種を受けることができる。衛生福利部が、ワクチン代金は無料、「診察料」「注射手技料」などの自己負担の上限を600元と定めたからだ。

 今回、1万回分のワクチンを自費接種分に回したが、中央感染症指揮センターは今後も接種状況を見て、自費接種機会を増やしていく考えのようだ。国内感染を食い止めている台湾だからできる対応かもしれないが、ぜひ日本でも取り入れて頂きたい。

 台湾は海外ワクチンの調達に尽力する一方、購買への妨害工作などのリスクを予想し、昨年の早い段階から台湾産ワクチンの開発を進めていた。

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 現在、台湾バイオ大手の4社の内2社が、第二相臨床試験(フェーズII)を昨年末から志願した国民約2万人を対象に続けている。陳時中衛生福利部長は4月5日の会見で、ワクチンが7月にも量産可能になると見通しを明らかにしている。

 それが実現すれば月産2000万本の生産が予想され、ワクチン問題が一気に解決される。蔡英文総統も、台湾産ワクチンの開発が成功し接種が始まった際には、副総統とともに最初に接種すると報道されている。

 なお、一部報道によれば、台湾産ワクチン2種は、イギリス変異株(B.1.1.7)と南アフリカ変異株(B.1.351)に対しても効力を持つとされている。

 もちろん、台湾で開発されたワクチンが世界ですぐに受け入れられるとは考えにくい。しかし、ワクチンが素晴らしい効果を発揮すれば、台湾は半導体産業に続いて、バイオ産業で大きな柱を得ることができるだろう。今後の台湾のバイオ産業に注目したい。

【訂正】記事初出時より以下のように修正しました。
10段落目:台湾は2013年のSARS(重症急性呼吸器症候群)禍で→台湾は2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)禍で
(2021年5月14日10:45 ダイヤモンド編集部)