CTO(Chief Tasting Officer)
つまり「味見の責任者」は赤ちゃん

「セレニティ・キッズ」のバイソンのパウチはかぼちゃとほうれんそうとの、サーモンのパウチは、バターナッツ・スカッシュ(かぼちゃの一種)とビーツとの組み合わせです。また、 「bone broth」(骨のだし汁)を使用した、ターキーボロネーゼ味やターメリックチキン味などのパウチもあります。

パウチPhoto:Serenity Kids

 同社の新商品の開発は、赤ちゃんにとって栄養価の高い食材選びから始まります。

 セレニティ・キッズのCTO(Chief Tasting Officerの略で「味見の責任者」の意)である、ジョー・カーさんの娘のデラちゃんなど、コミュニティー(セレニティ・キッズのファン)内の赤ちゃんや親は味見担当です。

 小児科医のミシェル・レビット博士など、専門家による栄養指導のもと、自社キッチンでレシピを試作します。その後、独自の農家のネットワークから質の高い原材料を調達。公式サイトの農家一覧からも見て取れるように、健康的なエコシステムの中で大切に育てられた家畜を厳選しています。

「私たちの商品の70%は、環境再生型農業(土壌の現状維持だけではなく、土壌を改善しながら、自然環境の回復を目指す農業)を実践する、小規模な家族経営の農場から供給された肉でできています。残りの30%は、有機アボカドやオリーブオイルなど、健康的な脂肪分を含む野菜です」(ジョー・カー氏)。

 原材料へのこだわりは、商品の高い栄養価に表れています。市場の代表的なパウチ商品463種類と比較したところ、セレニティ・キッズのパウチ商品の糖分は3分の1にとどまり、タンパク質は4倍、脳の成長に欠かせない脂肪は5倍含まれていることがわかりました(セレニティ・キッズ調べ)。

一般的な原材料である穀物を使用しない
「パフライス」が新商品

 2021年2月、米国のベビーフードメーカーの大手4社が、自社のライスシリアルやスイートポテトピューレなどに高レベルの有害金属が含まれると知りながら商品を販売していたことが明るみに出ました(参考:2021年2月5日のCNNの記事「Leading baby food manufacturers knowingly sold products with high levels of toxic metals, a congressional investigation found」)。いっぽう、セレニティ・キッズの商品は、市販品の安全性を検査する第三者機関、非営利団体「Clean Label Project」のお墨付きです。

 一方、食感が軽く口溶けがいい「パフ」(日本では「パフライス」や「パフ菓子」と呼ばれるスナック菓子)は、乳幼児に人気のスナックのひとつです。でも、従来品の主な原材料は穀物。穀物は安価で口当たりがいいスナックを簡単につくれるため、パフの原材料として重宝されてきましたが、いわゆる「empty carbs」(直訳すると「空っぽの炭水化物」)で、栄養価は乏しいといえます。

パフPhoto:Serenity Kids

 今年2月に販売開始したセレニティ・キッズの野菜パフは、グレインフリー(穀物未使用)かつ、無糖です。適度な歯応えと口溶けの良さを兼ね備えたパフは、穀物の代わりにカッサバ粉やタピオカデンプンなどを使用しています。

 グレインフリーにこだわった理由について、ジョーさんはこう話します。

「穀物は植物ですから、野生の動物に食べられないよう、また、子孫を増やすために哺乳類の腸を刺激するよう、進化してきました。特に全粒穀物(精製していない穀物)は、胚芽に腸を刺激する抗栄養成分が多く含まれています。精製された穀物でも、フィチン酸などの反栄養素の含有量は少ないものの、野菜などに比べて栄養価は低く、重金属や農薬を多く含むことがわかっています」

 なお、ジョーさんの一家は両親をはじめ、「パレオ」(原始時代をお手本とする食事法)寄りの食生活とのこと。

 野菜パフの味は、健康的な脂質源とされる骨のだし汁を使った「トマト&マッシュルーム」味など、計3種類。わが家の子どもたちのお気に入りは「キャロット&ビーツ」味です。