緊急事態宣言下の東京都民より、数段厳しい行動規範を強要
重要なのは関係者らの来日後の行動である。
組織委と政府、東京都が連携する「対策会議」ではかなり厳格なルールを定め、徹底する準備が進められている。来日する選手や関係者に通知された『プレーブック』に定めた行動規範はものすごく厳しい。以下は、4月28日に公表された第2版の抜粋だ。
・入国翌日から3日間は自室で隔離する。ただし、選手は陰性の証明など一定の条件を満たせば、入国後すぐに練習できる。
・日本滞在中は原則として毎日検査を実施する。2種類のスマートフォン向けアプリを活用し、検温結果や症状の有無などを毎日報告する。
・原則として行動は活動計画書に記した内容に限定し、観光地、店舗、レストラン、バー、ジムには行けない。移動手段は大会専用車両のみとし、原則として公共交通機関は利用不可。
・食事はウイルス対策が施されている施設やデリバリーに限る。
そして、「プレーブックの規則に違反した場合、資格認定証の剥奪などの懲罰的措置を受ける可能性がある」と規定されている。行動ルールを破れば、オリンピックへの参加資格が失われる、という意味だ。
ある競技の代表監督は「これは相当厳しいルールです。選手たちにはほとんど自由がない。オリンピック出場のためでなければ、ここまでは受け入れないだろうと思うくらい、普通の生活さえできないレベルです」と答えた。
つまり、東京五輪に参加する世界中の全選手が、IOCと組織委を通じて、通常ならありえない行動制限、相当に自由を束縛される参加条件に同意し、それでも日本滞在と東京五輪への参加を決断することになる。
それは参加者たちが、自身の健康を守るのはもちろん、東京五輪開催のため、そして日本国民に感染を広げてはならないという強い決意と誠意の証明ではないだろうか。そこまで覚悟して日本に来る、選手たちの心情を受け止める「お・も・い・や・り」が、いまの日本国民には欠落していないだろうか。