相手のネガティブな話題への上手な返し方

 お客様と打ち解けてくると、仕事と直接関係がない話題になることもあります。気持ちを開いてくれた証拠なので喜ぶべきことです。

 ただ、「新規受注が増加した」「従業員が成長した」などポジティブな話題なら「それはよかったですね!」とあいづちも打ちやすいのですが、「実は、息子が第一志望校に落ちた」なんていうプライベートでのネガティブな話題だと、リアクションに困ります。どうしたらいいでしょうか?

 たとえば、次の返し方は悪い例です。

・相手「実は、息子が第一志望校に落ちてね……」
・自分「それは最悪ですね」

 どういうつもりでその話題を出しているかがわからないうちに、こんなふうに自分勝手に「最悪」と決めつけるのは禁物。人は自分で「最悪だよ……」と愚痴をこぼしたとしても、他人から言われると「君に言われる筋合いはない」と反発したくなることがあるからです。

 強がりを言っていても、内心は慰めてほしかったという期待を裏切ることにもなりかねません。言葉と気持ちは裏腹。話の額面通りに受け取ってはうまくいかない時もあるのです。

 こんな時は、いったん「寄り添う言葉」をかけて様子を見るのです。ネガティブな話題を振られて困った時には、何か感想を言わなきゃ、アドバイスをしなきゃ、と慌てないこと。良い悪いを直接、自分の物差しで判断せず、いったん気持ちに寄り添う言葉を伝えて、相手の表情や態度、声のトーンを観察するのです。

 そして、相手が明るいトーンで「いや~、まいったよ」と軽い様子なら、笑えるエピソードのつもりだな、と想像して「それは大変でしたね~」と労いの言葉をかければいいのです。続けて、「でも、○○さんのお子さんなら、必ずこれを糧に立派に成長されますよ」という励ましの言葉を添えていくのもいいでしょう。

 一方、もし「かなり落ち込んじゃって……」と暗いトーンで落胆している様子だったら、「傍で見ている親もつらいところですね」と共感の言葉をかければ、大きく外すことはありません。