コロナ禍によって、リモートワークやジョブ型雇用などを取り入れる企業が増え、人々の働き方は大きく変わった。しかし、変化を拒む人たちもいる。ジャーナリストの白河桃子氏は『働かないおじさんが御社をダメにする ミドル人材活躍のための処方箋』(PHP新書)の中で、変化を拒む人たちを「おじさん」と呼び、彼らが活躍するためには組織の風土を変える必要があると訴えている(参照:前回記事)。今回、『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター)を出版した石井遼介氏と、今後どのように組織を変えていくべきかをテーマに対談した。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
*2021年3月31日に行った音声アプリ「クラブハウス」での対談を取材したものです(事前承諾を得ています)。
「企業戦士としてのよろい」を脱ぐため、職場の風土を変えよう
白河桃子(以下、白河) 生産性を上げるため、経営戦略として働き方改革をするとき、職場の風土が変わる必要があります。しかし、それを常に邪魔する人たちがいます。その人たちを、拙著では「働かないおじさん」と総称していますが、性別年齢関係なく、変化を拒む人たちがいるんです。その人たち自身も変わるにはどうしたらいいのかというと、これまで培ってきた企業戦士としての思考、いわば“よろい”を脱ぐ必要があります。でも、彼らはよろいの脱ぎ方を知らないんです。
そこで、よろいを脱ぐためには、石井さんが研究されている「心理的安全性」が職場に必要だと思いました。
石井遼介(以下、石井) ありがとうございます。立場や経験にかかわらず、お互い意見を言い合い、素朴な疑問を聞ける組織やチームのことを、心理的安全性の高い組織と呼んでいます。
心理的安全性が高い組織=ぬるい職場とよく誤解されるのですが、そうではなく、心理的安全性が高い職場の方がちゃんと意見が衝突するんですよ。安全性が高いからこそ、反対意見も言えるんですよね。
一方、心理的安全性が低い職場だと「左遷されたり、上司に嫌われたりするのではないか…」という気持ちが働き、率直な意見がテーブルの上に出てこないことになっちゃうんですよね。本当は、その職場には多様な視点や才能があるにもかかわらず。