台湾国民に理解させるために書かれた判断基準
一方、日本は複雑

 王さんは「コロナ対策は一人も漏らさぬ覚悟が大事だし、市民としては当然のこととして受け入れています」と話す。

 台湾の「警戒レベル」は実にシンプルだ。市民がすべきこと、あるいはすべきでないことがはっきりと書かれており、また基準となる数字が打ち出されているため、誰の目にもわかりやすい。明らかに「市民に理解させる」ことを前提にして作成されていることがわかる。

 一方、日本の“判断基準”はかなり複雑で、「一目でわかる」といったものではない。「警戒ステージ」という名称で呼ばれている日本の「国の警戒レベル」は、「感染再拡大(リバウンド)防止に向けた指標と考え方に関する提言(令和3年4月15日)」に書かれている。

 しかし、これとは別に、新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房)が管理するサイトの中に「都道府県のステージ判断に係る指標及び目安」がある。それらは「あくまで目安」であり、最終的には地域の実情を把握する都道府県知事が判断するという。

 都内に在住する台北市出身の李さん(仮名)は、同じコロナ禍で打ち出されたものだが、「日本の警戒レベルは誰にとってもわかりやすいものだとは言えない」という。結局は首相の発表を待たざるを得ず、計画が立たないため事業に支障が出てしまう、とも。日本人のみならず外国人も日本政府が発表する文書の難解さと曖昧さに悩まされているのだ。