米国人による4月の支出額は前月から伸びた。ただ、モノの購入は減っている。米商務省が28日発表した個人所得・支出統計では、個人消費が前月比0.5%増加した。政府の景気刺激策による給付金で急増していた3月からさらに増えており、申し分のない内容だ。全体をけん引したのが、1.1%増となったサービス向けの支出だ。これは新型コロナウイルス感染者が減り、ワクチン接種が進む中で、消費行動の変化を映し出している。一方で、モノに対する支出は減少。とりわけ食料品や洗浄製品など、非耐久財向けが落ち込んだ。だが、つぶさに見ると、主に物価上昇によって支出額が押し上げられた実態が浮かび上がってくる。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注目する4月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前月比で0.6%上昇。前年比では3.6%上昇した。その結果、インフレ調整後の実質支出額はむしろ落ち込んでいる。インフレ基調のすう勢をより正確に反映するとされるコアPCE指数(変動の激しい食品・エネルギーを除く)は、前月比0.7%、前年比3.1%それぞれ上昇した。FRBのインフレ目標は2%だが、FRBは当面は上振れを容認する姿勢を示している。