頭がいい人の「仕事がうまくいく」1つのコツ

部下や上司、同僚を理解する

 部下や上司、同僚は身近な存在ですが、意外に彼らのモチベーションの源泉や、気にしていることに無頓着なケースも多いものです。一番良くないのは、彼らを一人の人間ではなく、「機能」と見てしまうことです。「彼/彼女はこういう仕事をする機能」と見た瞬間に、人を動かすことは難しくなります彼らのやりたいことや「野心」、あるいは嫌がることなどを常日頃、コミュニケーションを通じて理解しておくことがまずは必要です。

 同時に必要なのは、彼らから自分がどのように見えているかを知ることです。企業によっては360度評価でそれを可視化することもありますが、その場合でも通常はフリーコメントは匿名ですし、複雑な感情をそのまま書いてくれるわけでもありません。

 そこで、ここでも日々のコミュニケーションや、間接的に人から話を聞くことで、その人の意識の中における自分の立ち位置を知ることが大切です。

 たとえば部下に、「あなたはいざというときに頼りにならない。他部署に対して交渉などをあまりしてくれない」という認識を持たれていたとします。その場合、他部署を巻き込んだ案件を進めるように部下に指示したとしても、彼/彼女は嫌がるでしょう。では、こういう場合にはどうすれば部下は動いてくれるでしょうか?

 自分自身が変われれば一番いいのでしょうが、信頼は一朝一夕に築けるものではありません。であれば、上司の力を借りるのがいいかもしれません。上司には当然、「部下をうまく使って結果を残す」という責任があります。それをうまく活用し、彼/彼女に自分が苦手としている仕事を手伝ってもらうのです。「上司は無料で使える最大の資源」という言い方もありますし、上司も社内的な評価を気にするという点では同じです。彼らの心象風景に立って、物事を考えることはやはり有効なのです。

 このとき、同時に「視座を上げる」という訓練もするといいでしょう。上司やその上司、さらには経営者の視点に仮想的に立って、物事がどのように見えているのかを俯瞰してみるのです。そうすることで、自分の考えている範囲の狭さを再確認し、全く別の打ち手を思いつくことも可能になったりするのです。

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(本記事は『グロービス流「あの人、頭がいい!」と思われる「考え方」のコツ33』〔グロービス著、嶋田毅 執筆〕の抜粋です)