「心の自家発電」のススメ

 つらいとき、苦しいとき、そばに誰かがいてくれることは心強いです。でも、みんな忙しくて、自分のことでいっぱいいっぱいです。ましてやこのコロナ禍なので、思いやりが大事と頭では分かっていても、みんな余裕がありません。

 もうひとつ言うと、仲間がいればなんでも万々歳ではなく、自分を他人と比較するという落とし穴にハマる場合もあります。比較をして相手より下だと思うと、自分は駄目だとなってしまうこともある。悪く思われたくないから、相手が欲しい答えを言ったり、相手の顔色や動きをうかがったりすることもある。だから、自分で自分をコントロールできたほうが絶対にラクなんです。

 10年前の東日本大震災のボランティアに行ったときに、小学校の掃除を校長先生と一緒にしました。校長先生が掃除の後にこんなことをおっしゃいました。

 津波以前は、子どもたちに生きる力を付けさせたい、何か苦しいことがあっても乗り越えられる力を付けさせたいと思って、先生たちとも協力してやってきたつもりだけど、自分が伝えたかった「生きる力」って何なんだろうと考えさせられてしまう……と。

 その校長先生が、「つらいときには頼れる人の力も大事だけれど、心を自家発電できる力が必要。どんなことがあっても自分の力で自分を元気にできる、自家発電できる子どもをこれから育てたいと思っています」とおっしゃっていました。心の自家発電。今の時代、誰にでも必要なことではないでしょうか。