インターネットで学べる高校として日本一の生徒数を誇る角川ドワンゴ学園の「N高」が労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かった。ダイヤモンド編集部では『週刊ダイヤモンド』6月12日号の第1特集「教師大全 出世・カネ・絶望」で、教師1人で150人の生徒を担任するといったN高の過酷な労働の実態を報じていた。(ダイヤモンド編集部 松野友美)
残業代の支払いが不適切
労基法違反で是正勧告
「N高等学校(N高)」を運営する角川ドワンゴ学園が亀戸労働基準監督署(東京・江東区)から労働基準法違反に基づく是正勧告を受けていたことが分かった。N高教師に対する残業代の支払いが不適切だったことなどに対して、5月19日付で是正勧告が出されたもので、この教師らが加入する労働組合の私学教員ユニオンが6月11日に都内で会見を開いて明らかにした。
ダイヤモンド編集部では『週刊ダイヤモンド』6月12日号の第1特集「教師大全 出世・カネ・絶望」で、教師1人で150人の生徒を担任するといったN高の過酷な労働の実態を報じていた。
インターネット授業と通信制高校の制度を組み合わせた“ネットの高校”である角川ドワンゴ学園の「N高等学校(N高)」は2016年4月に開校した。ビジネス界の著名人、教育界の大物、革新的な取り組みで実績を持つメンツを幹部にそろえる人気校で、生徒数は1万7000人超(21年5月時点)と日本一だ。
N高には、高校卒業要件を満たすために年5日間スクーリング(通学)する以外は全てインターネットで完結する「ネットコース」、全国にあるキャンパスに通う「通学コース」などがある。
ネットコースを担当する教師は、スクーリングに対応しながら担任業務をこなす。担任業務は、チャットツールのSlack(スラック)や電子メール、電話などを使った生徒への対応やビデオ会議ツールのZoom(ズーム)を使った面談、保護者対応などだ。加えて「レポートを年に1万件以上採点している」(N高教師)という。
是正勧告が出された背景には、こうした業務に追われて長時間労働が続く過酷な労働実態があった。