当該教師は実質的な残業が約90時間
過労死ラインを超えていたと主張

 是正勧告は複数項目におよび、その一つは残業代の支払いが不適切だった点にある。労基署に通報した教師の場合、20年10月における所定時間外労働24時間分に対する賃金支払いが、本来支払われるべき金額よりもはるかに少なかった。学校側は、年度内に振替休日を取得することを前提に支払っていたためと弁明しており、是正勧告を受けて改善するという。

 また、スクーリング授業の際に休憩時間が取れていない点について勧告が出された。これに対しても学校側は運営方法を見直すとしている。

 当該の教師は、20年10月における実質的な残業が過労死ラインを超える約90時間に及んだと主張している。担任として約150人の生徒を受け持った上に、スクーリング授業に追われ、授業の合間に休憩を取ることはほぼできなかったという。なおN高は固定残業手当(みなし残業代)を設けており、40時間分は固定残業の範囲となる。

 教師側からは「きちんと(生徒の)相談に乗れるように担任数の減少を望んでいる」との声が挙がる。教師の受け持ち生徒数は150名(1・2年次を受け持つ場合)がほぼ標準になっていることについて、学校側は「適正な数である」と認識している。

「専門チームによるオンライン授業を取り入れているため、教員の授業担当の負荷は全日制高校とは異なる」とし、ICT(情報通信技術)を活用した業務の効率化を図り、進路指導、部活動、事務作業、生徒指導等を行う専門・支援チームを設け、担任教員の負荷を減らす分業を進めているという。