店の奥にある小さな事務所。ここで2人で事務作業などをする

 そして、33歳の頃に独立した。「サラリーマンとして生涯を終えることは嫌だった」という。

 20代の頃から心に秘めた、ビジネスモデルがあった。個人商店として3つの事業を賄うものだ。1つの事業は自転車やリヤカーの部品の販売、2つめはそれらの修理、3つめはリヤカーの販売である。

 店は、JR南武線・武蔵新城駅から10分ほどの住宅街に設けた。入口付近には、自転車やリヤカーなどのタイヤが並ぶ。8畳くらいのスペースの店内の奥には、様々な部品が陳列されている。足の踏み場がないくらいだ。

スペースもない、お金もない――。
リヤカーのネット販売に乗り出し成功

メーカーから買った自転車などの部品。これを自転車店に売る

 近藤さんに「自転車などを店頭になぜ並べないのか」と聞くと、こう答えた。

「あのねぇ……うちは自転車販売店じゃないの。どんな商売でも、完成品を売るのはあまり儲からないわけ。自転車1台、1万数千円のものを売って、自分に入るお金は3000円ほど。あの商売では、大量に売れないと経営が成り立たないのよ」

 事務所のさらに奥にいた、コーエイ商会元番頭の藤田宣雄さんが話す。現在は独立し、自転車の修理を主に行なう。

「大手の自転車店は、スクラップ・アンド・ビルド。店頭に大量に並べ、売る。採算が合わないと店を畳み、次の場所でスタート。その繰り返し。ここはそんなことはできない」

 近藤さんが付け加える。

「うちには、たくさんの自転車を並べるスペースがないの。ましてや、リヤカーを置くことはできない。こんなに小さいんだから……。そもそも、お金もない」