百貨店や大型スーパーがECとの小売戦争で生き残れる「たった1つの作戦」店舗の従業員と消費者が時間や場所を共有するという伝統的なな消費行為は、今や様変わりした(写真はイメージです) Photo:PIXTA

店舗の従業員と消費者が
時間や場所を共有する伝統的消費行為

 EC(Eコマース)が出現するまで、我々は伝統的消費行為を当然視していた。ここで言う伝統的消費行為とは、店舗における商品購入行為を指す。商品購入行為は、(1)商品の情報獲得、(2)商品の選択、(3)代金の支払い、(4)商品の受け取り、という4つのプロセスで構成される。
 
 新聞やテレビなどのメディアが発達する以前、上記の4プロセスはほぼ同時に一カ所(店舗)で行われていた。売り手側(店舗の従業員)と買い手側(消費者)が、時間と場所を共有するという意味で「同時性」のある関係と言える。

 昭和の商店街は、同時性のある関係の典型例だ。消費者は、商店街で、(1)お店の人に声掛けをしてもらい(商品の情報獲得)、(2)その日に買うものを選び(商品の選択)、(3)代金を支払い、(4)商品を受け取る。伝統的消費行為とは、「同時性」そのものを体現していた。