風光明媚な豪州ワインの産地クレアバレーにあるキリカヌーン・ワインズは、中国ワイン生産最大手の煙台張裕葡萄醸酒(張裕ワイン)に買収された3年前、輸出で優位に立ったかに見えた。だが、今年は1本も中国でワインを販売していない。豪中関係の悪化で、豪州産ワインの対中輸出は停止した。これにはキリカヌーンが毎年輸出してきた年間35万リットル分の高級シラーズなどの品種が含まれる。中国はオーストラリア政府が新型コロナウイルスの起源を巡り国際調査の実施を呼びかけたことに激怒し、ワインのほか、大麦や石炭、ロブスターなど豪輸出品に関税や障壁を課している。貿易摩擦の激化を受けて、中国による対豪投資の落ち込みが加速。一方で、中国系の豪企業は板挟みの状況に置かれている。中国という利潤の大きい市場から締め出される一方で、国内では反中感情を強める消費者からの反発の矢面に立たされている。
中国系豪企業の苦悩、両国の関係悪化で板挟みに
中国を安全保障上の脅威と考える豪国民が初めて過半数を超えた
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