グローバルに高いシェアを持つ企業が多く、今や日本有数の優良セクターへと成長した電子部品業界。EV(電気自動車)や5G(第5世代移動通信システム)向けの需要も続々と拡大中だ。特集『業績 再編 給与 5年後の業界地図』(全16回)の#3では、5年後も「構造的にもうかる」未来が描けそうな電子部品、さらには各社の業績の未来図を大解剖。四半世紀ぶりの大波が到来しつつある有望企業の存在についても解説する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
最高益企業が年を追うごとに増加見通し
「もうかる電子部品」の正体とは?
「約20年ぶりの事業機会が到来か」――。電子部品業界のアナリストランキングで13年連続首位の佐渡拓実氏(大和証券チーフアナリスト)が今、こう語るダークホース的な3社がある。それは、ロームと大真空、日本電波工業だ。
ほぼ共通する成長のキーワードは、今後何年も構造的に需要拡大が続きそうな「EV(電気自動車)と5G(第5世代移動通信システム)」。これは何も上記3社に限ったことではなく、堅実に成長を続ける他の主要同業他社にとっても同様。BtoB(企業向け)取引を手掛ける電子部品の企業が成長を続けるために重要なのは、部品の供給先の市場拡大であり、勝ち馬に乗り続ける「コバンザメ戦略」を遂行できるかどうかが鍵を握るからだ。
電子部品への強い引き合いが今後数年続くとの見通しは、「最高益更新」の観点からも浮き彫りとなる。何しろ、本稿で取り上げる成長性の高い有望8社のうち、営業最高益を更新する企業は2021年3月期時点で2社だったのが、今期(22年3月期)はさらに2社、新たな中期経営計画の期間を含めればもう2社増える見込み。時を追うごとに続々と過去最高水準のもうけをたたき出す展望となっているのだ。
一方で、一口に電子部品と言っても、各社がどんな分野や部品に強みを持つのかは分かりづらい。そこで、次ページでは今後5年先を見通しても有望な主要企業の「もうかる電子部品」の正体を具体的に示していく。なぜ安泰なのか、なぜもうかるのか。トップアナリストへの取材を基に、明らかにしていこう。