今月、中国共産党は創立100周年を迎えた。盛大な祝賀イベントは終了したが、中国では共産党ゆかりの地を訪ねる「紅色旅游」(レッドツーリズム、赤色の旅行)が盛り上がりを見せており、特に最近では、若者の旅行者が増えているという。それは一体、なぜなのだろうか?(ジャーナリスト 中島 恵)
中国の若者に流行
「レッドツーリズム」とは?
「自分の足でこの地を踏むことができて、本当に感激です!」
「先人たちの苦労がよくわかりました。我が中国共産党を誇りに思います!」
ネットで中国のニュースを見ていたとき、20代らしき若者がテレビ画面に向かって、こんなふうに語っている姿を目にした。場所は江西省の井岡山(せいこうざん)だ。日本人には聞きなれない地名かもしれないが、中国でこの地を知らない人はいない。
なぜなら、1920年代後半、「建国の父」である毛沢東が農民を組織して、武装闘争の根拠地を築いた歴史的な場所だからであり、教科書でも学ぶところだからだ。
今、中国の若者で、このように中国共産党ゆかりの地を訪ねる「紅色旅游」(レッドツーリズム)をする人が増えている。中国の旅行サイト「同程旅行」の調査によると、中国のゴールデンウイーク(黄金週)を含む今年4月~5月に「紅色旅游」をした人で最も多かったのは21~30歳で、全体の約40%を占めていた。次いで多いのは31~40歳で約28%、20歳以下も約20%となっている。つまり、圧倒的に若者が多いということだ。
「紅色旅游」の目的地には、大型ショッピングモールや娯楽施設があるわけでもないし、交通至便なわけでもない。むしろ、かなり不便な場所なのに、なぜ若者たちは、わざわざ「革命の地」を訪れるのか?