9割の日本人が知らない【2つ目の盲点】

ジェイミー:はい。3つのうち、2つ目の柱は課外活動の実績です。

入学審査官は高校1年次(米国は高校が4年間のため、日本でいう中学校3年次)からの取り組みすべてを見ているので、課外活動に一貫性を持たせるのがミソとなります。多くの生徒は2つまたは3つのおもなテーマを設定します。

様々なテーマの課外活動がある中で、優秀な生徒は自分が情熱を持てるテーマに沿った複数の活動をしています。

課外活動には、校内での活動から国際大会への参加まで、様々なレベルで評価することができます。

可能ならば、高いレベルで競い合い、国際的な実績を積める活動を追求しましょう。

たとえば、ロボット競技をすると、ニッチなスキルであるなので出願書類を際立たせることができるんです。

トップスクールの入学審査は特にリーダーシップに焦点が当てられています。

スタンフォード大学、プリンストン大学、ペンシルベニア大学、ワシントン大学のビジネススクールなどでは、リーダーシップを発揮する生徒を非常に高く評価しています。

星:リーダーシップの発揮の仕方もいろいろありますが、何を意識すればいいでしょうか?

ハーバード、ケンブリッジ、スタンフォードなど世界の名門25大学に一発合格したニュージーランドの鬼才CEOが初公開!9割の日本人が知らない「3大盲点」星 友啓(Tomohiro Hoshi)
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長
経営者、教育者、論理学者
1977年生まれ。スタンフォード大学哲学博士。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。教育テクノロジーとオンライン教育の世界的リーダーとして活躍。コロナ禍でリモート化が急務の世界の教育界で、のべ50ヵ国・2万人以上の教育者を支援。スタンフォード大学のリーダーの一員として、同大学のオンライン化も牽引した。スタンフォード大学哲学部で博士号取得後、講師を経て同大学内にオンラインハイスクールを立ち上げるプロジェクトに参加。オンラインにもかかわらず、同校を近年全米トップ10の常連に、2020年には全米の大学進学校1位にまで押し上げる。世界30ヵ国、全米48州から900人の天才児たちを集め、世界屈指の大学から選りすぐりの学術・教育のエキスパートが100人体制でサポート。設立15年目。反転授業を取り入れ、世界トップのクオリティ教育を実現させたことで、アメリカのみならず世界の教育界で大きな注目を集める。本書が初の著書
著者公式サイト】(最新情報やブログを配信中)

ジェイミー:大学受験の文脈で評価されるリーダーシップには、2つの種類があると考えています。

1つは組織的なもの。学校の仕組みの中で役割を与えられ、仲間や先生から選ばれるもの生徒会や部活のキャプテンみたいなものですね。

もう1つは学校の仕組みの外側で、自分の力でプロジェクトを立ち上げる起業家精神に基づくもの

たとえば、コロナ禍でサポートした私の生徒の一人に、地域のアーティストと一緒に85のアート作品をつくりあげた生徒がいます。

COVID,Isolation(孤独)などの文字も書かれた作品で、時代に沿って考え抜いた作品となり、これらの作品をオークションにかけて約350万円もの寄付金を集め、地元の病院に寄付しました。

起業家精神、マーケティング、クリエイティブデザインといった生徒の様々な興味がうまく連携され、素晴らしい課外活動となりました。

驚くべきことは、彼女はまだ中学3年生だったのです。

課外活動に情熱を注ぐのに、年齢なんて関係ありません。

多くの場合、親が足を引っ張っています。

子どもの可能性を信じて、チャレンジを応援していきたいですね。

星:ジェイミー自身、このあたりに特に力を入れたことで、米英トップ大にすべて合格したわけだから、説得力がありますね。

3つ目の柱はなんですか?

9割の日本人が知らない【3つ目の盲点】

ジェイミー:3つ目の柱は、大学受験の出願書やエッセイ、インタビューなどから読み取れる生徒自身の性格特性や人柄です。

特にアメリカの大学ではこの要素が重視され、エッセイやインタビューの比重が高いのが特徴的です。

今までどのような人生を送ってきたか、どのような夢があるか、なぜこの大学を志望するかなど、生徒のストーリーが評価されます。

インタビューで卒業生と話すことで、さらに深掘りできるでしょう。

このように、アメリカのトップ大学を目指す際、評価のコアとなる3つの柱を意識し、バランスよく準備することがポイントです。

星:この3つ目の柱の人柄というのは、私がアメリカの高校を運営してきて最も痛切に感じる部分ですね。

日本やニュージーランドのように、入試でいい成績をとることに焦点を当てているだけでは、アメリカの大学受験はうまくいかない。

「人柄とか性格をどのように書類上から判断するんだ?」と懐疑的でしたが、そこに力を入れてきたアメリカの入試の伝統がある。

生徒は、長年かけて、自分の人柄や生き方がうまく表現されている活動を記録に残すことを意識しなくてはいけません。

また、教師や大学受験進路カウンセラーの推薦状が、入試の際に成績同様、時には成績以上に重視されることも意外に知られていない事実ではないかと思います。

(後編に続く)