イランが支援するイラクとシリアの武装勢力に対し空爆を行ったジョー・バイデン米大統領の決断は、戦術的に必要な措置だった。だが、核交渉を通じてイランに力を与えるバイデン氏の戦略は、そうした抑止のメッセージを台無しにするものだ。米国防総省によると、空爆は「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」などの武装勢力が使用する「作戦拠点や武器貯蔵施設が標的」だった。こうした武装勢力はイラクに駐留する米軍の兵士や施設を狙っている。「米国は、エスカレートするリスクを抑えつつ、明確な抑止のメッセージを送るための必要かつ適切、意図的な行動を取った」としている。武装勢力の「爆弾ドローン」はとりわけ厄介な脅威となっていた。今回の米国による空爆と2月に実施した同様の攻撃で、イランの支援を受けるイラクとシリアの武装勢力を止めることはできないだろう。イランから資金提供を受けるこうした武装勢力の目的は、米軍をイラクから追い出すことだ。イラク政府の要請を受け、イラクには約2500人の米兵がイスラム国との戦いを支援するために駐留している。それでも空爆によって武装勢力の攻撃能力を低下させることは可能だ。武装勢力は損害を被ることも辞さないかもしれないが、何も行動しなければ、さらに大きな攻撃を招くだろう。
【社説】バイデン氏とイラン支援の武装勢力
イランへの秋波は空爆のメッセージを台無しに
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