オフラインの場合は、社内のいたるところであいさつやなにかしらの雑談をする機会があります。ですから、名前を呼ばなくてもコミュニケーションはとれていました。希薄であっても、お互いの存在を認めることでカバーできていたのです。

 ところがテレワークになると人との接触が減り、あわせてさらに会話が激減します。とくに仕事関係だと用事ありきでのオンラインでの会話になります。雑談をする時間や打合わせをする時間でも設定しない限り、組織の人たちとばったり会って話すという機会はないのです。するとより希薄な関係になっていきます。

一つひとつの行動ごとに
相手の名前を呼び掛ける

 人とかかわらないオンラインでの生活が快適になる人もいれば、逆に孤独を感じたり、自分の存在意義がないのではないかともやもやと気分が落ち込む人もいます。

 どちらにせよ、コミュニケーションは希薄になってきているので、お互いの信頼の為にもできるだけ濃いコミュニケーションをとっていきたいものです。かといって、無駄にオンライン会議を使って話す時間を設ける必要はありません。

 そこでお勧めなのが、相手の名前を呼ぶことです。何度もオンライン会議で話をする必要もなく、その都度、名前を呼び話しかけることで、個人の存在価値を認めることができます。

 1対1の場合は、一つひとつの行動に相手の名前を呼び掛けていきます。名前を呼び掛けてあいさつをし、名前を呼び掛けて近況を尋ね、話しやすい場をつくります。そのあとで、再び名前を呼び掛けてこの会話の目的を話し、相手に聞きたい質問をするのです。

 短く端的に話すのがよいと言われても相手の名前が30秒もあるわけではないのでその都度、名前を呼んで声を掛けましょう。

「山田さん、こんにちは。山田さんは、連休どうすごした?」

「山田さんとは連休あけて3日ぶりだけど、夏のイベント企画は順調にすすんでいますか?」

「今日は問題点について聞かせてください、山田さん」

 ちなみに年配の営業の方にありがちな「社長! この商品はですね」と、役職でしか相手を呼ばないというのは避けましょう。役職でしか人を呼ばないことは、個人を大事にせず、肩書しか見えていない人だと思われる可能性があります。声掛けは個人名ですることをお勧めします。

 テレワークにおける、リーダーとしての声掛けの基本のキは、1対1でも相手の名前を連呼することです。