新たな経営陣でスタートした東京電力ホールディングスは、業績不振の小売り事業の譲渡に動きだすかもしれない新たな経営陣でスタートした東京電力ホールディングスは、業績不振の小売り事業の譲渡に動きだすかもしれない Photo:Takashi Aoyama/gettyimages

不適切な営業行為があったとして、東京電力エナジーパートナー(EP)が、消費者庁から業務停止命令を受けた。業績不振から抜け出したい東電EPにとって、行政処分は万事休すとなりかねない。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

半年間の電話勧誘禁止でも
社員は危機感に乏しく……

「末期の状態だよね。だけど、『患者』自身が末期であることに全く気付いていない」。東京電力ホールディングス(HD)の子会社で、小売り事業を担う東京電力エナジーパートナー(EP)のある販売代理店の営業マンは、あきれていた。

「患者」とは、東電EPのことである。不適切な営業活動を行ったとして、東電EPは6月25日、消費者庁から特定商取引法に基づく業務停止命令を受けた。12月25日までの半年間、電話勧誘による販売業務を禁じられるのだ。

 前出の営業マンによると、東電EPの社員たちは、消費者庁による業務停止命令をさして深刻な事態と受け止めていない様子だという。「業務停止命令によって顧客を失うかもしれないという危機感に乏しい」(前出の営業マン)。

 発端となったのは、2020年6月。東電EPの業務委託先である「りらいあコミュニケーションズ」が19年以降、電話勧誘で「電気料金が安くなる」などと、うその内容を顧客に伝えたり、通話記録を改ざんしたりするなどの不適切な営業行為が発覚したのだ。

 消費者庁は20年7月、東電EPやりらいあ社などに立ち入り検査し、その後も調査を進めたところ、りらいあ社などが30万人以上にうその説明をして電話勧誘を行っていたことが判明した。