銀行再編の黒幕#1
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菅義偉首相が「再編も一つの選択肢」と言及し、地方銀行界で再編の思惑が顕在化し始めた。そんな中、ゆうちょ銀行や元金融庁長官が絡んだ、新地銀連合の思案が水面下で練られていた。特集『銀行再編の黒幕』(全16回)の#1では、地銀再編に向け動きだした金融界の“黒幕”に迫った。(ダイヤモンド編集部 新井美江子、田上貴大)

「地方のお殿様」がついに動く!?
地銀水面下で諜報合戦が活発化

「地方銀行の数が多過ぎる」「再編も一つの選択肢」。自由民主党総裁選挙への出馬表明の際にそう語った菅義偉氏が首相に就任し、発言の“本気度”を巡ってさまざまな解釈が錯綜している。

「地銀にとって一つだけ確かなことは、何もしないのだけは許されないということだ」。金融庁幹部はそう語る。何もしないことは許されない――。その空気は今、地銀界全体に伝播し、再編に向けた動きが顕在化し始めている。

 9月に入って本州最北端の青森県で青森銀行とみちのく銀行の統合観測が流れ、10月には静岡銀行と山梨中央銀行の包括業務提携なども明らかになった。

 そして日本銀行は11月10日、地銀や信用金庫を対象にした新制度の導入を発表。3年間の時限措置で、経営統合などの条件を満たせば当座預金に上乗せ金利を支払う。このインセンティブにより、再編が加速する可能性が一段と高まった。

 さらに政府は来年の通常国会に向け、再編時のシステム統合で発生する費用などを補助する金融機能強化法改正の検討に入った。

 菅政権の金融ブレーンを務める竹中平蔵氏は、地銀を「地方のお殿様」と言う。「保護されてきた地銀に、改革のインセンティブはない。銀行法は強力な参入障壁であり、彼らはそこで守られてきた」(竹中氏)と辛辣だ。

 一方で、当の地銀には「(再編の)バスに乗り遅れる前に何らかの手を打たなければならない」という焦りも透ける。

「どの地銀がどう動こうとしているのか」――。地銀同士で出方を探り合う諜報合戦が、水面下で活発化している。

 そんな中、政府筋や、わずかな地銀関係者などの間でひそかに温められている再編案がある。