代表車種も生産終了に
利益改善に向けた取り組みが加速

 6月、ホンダの最高級セダン「レジェンド」、高級ミニバン「オデッセイ」、燃料電池車「クラリティ」が年内で生産中止となることが明らかになった。

 これは、3車種の生産工場である埼玉・狭山工場が21年度中に閉鎖されるためだ。いずれもホンダの代表車種であり、ホンダファンにとって寂しいものがある。

 レジェンドは、1985年にホンダの旗艦車種として開発・市場投入され、今年3月には、市販車では世界初となる自動運転レベル3を搭載したモデルが限定100台で販売されたばかりだ。また、クラリティFCEVは、2016年に量産型セダンFCEVとして投入され、トヨタのMIRAIとともに水素を燃料とするゼロエミッションFCEVをリードしてきた。18年にはプラグインハイブリッド車であるクラリティPHEVも投入している。

 さらに、オデッセイは1990年代前半、ホンダが業績に苦しんでいた時期に救世主として登場。アコードのプラットフォームをベースに多人数乗用車「生活創造車=クリエイティブ・ムーバー」として当時のミニバンブームを切り開いて一世を風靡した車種である。

 だが、近年ではオデッセイのミニバン市場はSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)市場に取って代わられており、またレジェンドやクラリティといったセダン市場も縮小している。ホンダにとって販売台数が落ち込んでいる車種の採算性改善が急務であったところ、生産する狭山工場を本年度中に閉鎖することもあり、他工場への生産移管を見送ることでそのまま生産終了を決断したようだ。

 三部ホンダ体制の経営課題は、低迷する四輪車事業の立て直しであり、利益率向上は至上命令。電動車100%といった華々しい目標の一方で、不採算車種の撤退といったように、こうした「影」の部分に徹底的に切り込んでいくことが求められているのだ。