国税の規制強化で富裕層の節税手段が徐々に狭められている中、抜け穴を探して次々と登場する新たな手口。カンボジアで口座を開設したり、国籍離脱まで?怪し過ぎる“節税策”を手に日本人富裕層を海外で狙う詐欺集団も登場。特集『最強の節税』(全22回)の#4では、普段は言えない富裕層節税の裏話、富裕層税理士覆面座談会の第2回をお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
野村信二 税理士
小田嶋 薫 税理士。国税出身
冬月礼司 資産家の資産運用ビジネスに従事
出口 悟 シンガポール在住税理士
「『私の履歴書』に載った名声が全て台無しに…」
パナマ文書暴露は富裕層の租税回避阻止に抜群の効果が!」
――国税の包囲網が狭まる中、富裕層にとって海外の資産隠しはもうなかなか難しくなっている、と考えてもいいのでしょうか。
野村 富裕層の海外資産への目配り、この10~20年で見るとめちゃ厳しくなってる。出国税(※1)なんてあんなドラスティックな税法作ると想定してなくてびっくりした。
冬月 僕はいたちごっこだと思ってる。海外租税回避の手法自体は合法非合法かかわらず、まだある。じわじわと網はかかっているけど、やってる人はやってる印象です。その意味ではパナマ文書が世に出たのは非常に意味があることでしたよね。中小企業のおやじならともかく、ある程度社会的地位が高い人は、ああやって国際租税回避してたのがバレるとレピュテーションリスクになっちゃう。
野村 セコムの創業者の飯田亮(取締役最高顧問)さんとかパナマ文書で名前が出ましたけど、(「日本経済新聞」の連載の)「私の履歴書」でいくら偉そうなこと言ってても、もう全て台無しですよね。
冬月 完全に晩節を汚しちゃった。
小田嶋 でもね。国税が海外財産に目配りをするようになってやっと15年です。海外税務当局が取ってきた口座情報や、OECD(経済協力開発機構)が加盟国に配布しているタックスヘイブンの仮想通貨の情報とかに飛び付いてるのが現状。とても全部は摘発し切れないです。