『P.F.ドラッカー経営論』
ダイヤモンド社刊 8400円(税込)

 「かつてNPOは、ボランティアは無給だから指示ができないと言っていた。ところが今日では、ますます多くのNPOが、ボランティアは無給だからこそ、大きな貢献をなし、仕事に満足してもらわなければならないと言っている」(『P.F.ドラッカー経営論』)

 こうしてNPOの多くが、体力集団から知力集団へと進化した。事実、ボランティアの多くが、管理的な仕事や専門的な仕事に従事する高度の教育を受けた人たちだ。

 彼らは、助っ人であることに満足しない。生計の資のための本職とする仕事において、知識労働者である。社会への貢献のための仕事においても、知識労働者たることを欲する。

 ドラッカーは、NPOが彼ら知識労働者を引きつけ、とどまらせるには、能力や知識をフルに発揮させなければならないという。

 いつでも去ることのできるボランティアをとどまらせるものは何か。

 第1が使命である。すべての源泉が使命である。第2が訓練である。訓練により常に能力を高めることである。第3が責任である。目標と方法の決定に参画することである。

 「今日、家族やコミュニティの崩壊や解体、価値観の喪失が指摘され、大きな問題となっている。しかし、これに抗する強力な流れが、NPOによってもたらされつつある。NPOはコミュニティの絆を生み出し、能動的な市民性や、社会的な責任、価値に対するコミットメントをもたらしている」(『P.F.ドラッカー経営論』)