唐揚げ専門店もオンライン化?
考えられる懸念と課題は?

 これまでイートインで勝負してきた店舗は、新型コロナウイルス発生後「新しい売り方」への対応に追われてきた。この1年で大きく変わったのは、テイクアウトだけではなく、世間のデジタル化の流れに合わせて、オンラインへと移行する店も増えているということである。

 例えば、2019年12月にオープンした「東京からあげ専門店 あげたて」は、オンラインデリバリーサービス限定店舗、いわゆるゴーストレストランという形で店舗を運営している(※3)。7月12日には、176店舗目がオープンするというものすごい速さで店舗数を増やしている。

 また、2020年3月にはGLUGが運営するゴーストレストラン「人は唐揚げに熱狂する。」が4店舗オープン。こちらも現在7店舗あり、それぞれUber Eatsや出前館、foodpandaなどのデリバリーサービスに対応している。

 さらに、すかいらーくが運営する「から好し」(※4)は、2017年にできたばかりだが、同じすかいらーくが運営するファミリーレストラン「ガスト」の店舗でも取り扱われている。今年1月には、「から好し」を取り扱うガストは600店舗を突破した。イートインやテイクアウト、Uber Eatsなどを使ったデリバリーサービスなどで売り上げを確実に伸ばしている。

 このように、唐揚げ専門店が急増している中で、今後は一刻も早く世の中の流れを読んで対応する迅速さや、差別化が求められていくだろう。実際に、販売方法だけではなく、「地元の○○を使った唐揚げ」や「○○仕込みの唐揚げ」といったキャッチフレーズや、とにかく大きさにこだわった唐揚げなど、独自性を追求している店舗も増えつつある。

 しかしオンラインデリバリーには、デメリットもある。「Eコマースと異なり、配達範囲が限られている」ことだ。今後需要や消費がさらに高まっていくにあたって、大手が唐揚げ市場で競走優位を保つためには、前述した「から好し」のように、さらなる販路の拡大が重要となってくるだろう。