チキン大国・韓国では
「唐揚げ店廃業」が社会問題に?

 ここで、日本よりも一足先にチキン文化が浸透しているお隣・韓国の「唐揚げ事情」をご紹介しよう。同国でも、ヤンニョムチキンやダッカルビ、タッカンジョンなど、鶏肉を用いた料理が豊富だ。韓国の場合は、転職が困難な中高年の失業者が、手軽に始められることからチキンデリバリーに乗り出すことが多い。ちなみに同国では、2020年の1年間で約68億米ドル相当ものフライドチキンを消費したといわれている(※5)。

 一方で、2019年にKBファイナンシャルグループは、過去4年間でフライドチキンの消費量は増加しているにもかかわらず、事業は閑散としているとのデータを発表した。需要に応じて事業に新規参入する人が増加している一方で、2018年には約8400もの店舗が閉店したという。

 フライドチキン自体の総売上高が増加している一方で、市場は飽和状態にあるため、運営費の増加や事業の収益の低下が、業界に打撃を与えているとみられている(※6)。こうなると、競走優位性が低い店舗は利益を得ることができない。だが、フランチャイズ本社へのロイヤルティは支払わなくてはならない…。このような過当競争の中生き残るためには、他店にはない強みを持ち、差別化を図るほかない。