オセアニアの巨像:大きいものはいいものだ

犯罪者の像としてはおそらく世界最大の「ネッド・ケリー像」犯罪者の像としてはおそらく世界最大の「ネッド・ケリー像」

 19世紀のオーストラリアで活躍(?)し、いまだ人気が高い義賊の巨像が「ネッド・ケリー像」。高さは6mですが、巨像の少ないオセアニアでは貴重な存在です。

 父はもと囚人、母は流刑者の家系、家族や親戚にも犯罪者がいるという19世紀のオーストラリアらしい家庭で、順調に盗賊に育ったネッド・ケリー。貧しいものからは奪わず、強盗を行う際も紳士的に振る舞い、民衆からの人気は高かったそうです。仕事中は手作りの甲冑を着用し、視界を確保するため目の位置に細長いスリットを入れたブリキのバケツのようなヘルメットは、ネッド・ケリーの象徴となりました。もちろんこの巨像も、ヘルメットをかぶった姿です。

デカイ国オーストラリアは地元の名産品もデカくしてしまうデカイ国オーストラリアは地元の名産品もデカくしてしまう

 1960年代から1980年代にかけて、オーストラリアでは各地で地元特産の農産物や工業製品の巨像を立てるのが流行し、「ビッグ・シングス」と呼ばれました。国内各地にマンゴー、カシューナッツ、ボルト&ナット、ガマグチ(財布)、ジャンプするワニ、温度計、蛇口、ボーイスカウト帽子、人間の手などの巨像が立てられたのです。

 中でも巨大なのが、高さ17mの「ビッグ・ロブスター」。ロブスター漁がさかんな小さな町キングストン・サウスイーストの中心に立てられています。よーく見てみると異様な造形の甲殻類、それを忠実に巨大化してあるので、なかなかに不気味。生き物を可愛らしくデフォルメする日本的な感覚とは異なり、このロブスターをはじめビッグ・シングスのシリーズにあるメリノ羊やコアラなどは、どれもリアル路線。見た目は可愛くなく、どちらかというと怖いです。