その他、盲点になりがちなのが相続税の存在である。被相続人から相続または遺贈によって取得した財産の合計値が基礎控除額を超える場合、相続税の課税対象となり、金額に応じた相続税率が適用される。遺産相続の金額が大きい場合、注意が必要となる。

 そのため、相続税の発生の有無を確認した上で、きちんと税額を試算しておきたい。そうすることで、相続人のうち誰が得をして誰が損をするのか事前に突き止めることができ、公平に遺産を分配することにつながるのである。

「争族回避」チェック項目(2)
法定相続人のメンバーと数、関係性を明らかにしておく

 また、戸籍謄本を確認するなどして、法定相続人が何人いるかを把握しておくことも重要だ。死後に被相続人の子と名乗る者が現れ、遺産を総取りされてしまったという例が、実際に存在する。そのため、このようなトラブルを未然に防ぐためにも、前妻や前夫との間に産まれた子や隠し子の存在についても調べておく必要がある。

 法定相続人の確認で重要なのは、「嫡出子」がどれくらいいるかだ。嫡出子とは、民法において妻が婚姻中に懐胎した子と定められており、婚姻成立の日から200日を経過または婚姻解消・取り消しの日から300日以内に生まれた子が該当する。

 つまり、この条件に該当している場合は離婚した前妻・前夫との間にできた子も含まれる。一方で、婚姻関係にない男女の間に生まれた子は「非嫡出子」とされ、相続権はない。

 しかし、例外もある。生まれた際に両親が未婚であった場合でも、生まれた後に認知され、その後に両親が婚姻した子や、生まれた後に両親が婚姻し、その後父親が認知をした子であれば、嫡出子に含まれると民法に定められているのだ。

 厄介なのは、親の隠し子が嫡出子、または非嫡出子だが「民法上で被相続人と親子関係が認められていた場合」だ。母親が被相続人の場合、非嫡出子は出生した時点で法的な親子関係となる。また、父親が被相続人である場合、非嫡出子は父親の「認知」によって法的な親子関係となる。

 認知されていた場合は、その隠し子に相続権が発生するため、連絡を取って遺産分割協議を行う必要がある。とはいえ、隠し子の連絡先は不明であることが多い。