連絡先が不明な際の対応として、「戸籍の附票」という書類を役所に請求することが考えられる。この書類を請求することで、戸籍に載っている人の現住所を確認することができる。住所を把握したら、手紙を書くか実際に訪問して遺産分割協議を行いたい旨を伝える。

 それでも連絡が付かない場合は、家庭裁判所に事情を説明し、不在者財産管理人を選任してもらうとよいだろう。不在者財産管理人とは、不在者の代わりに遺産分割に参加してくれる代理人のこと。これによって隠し子が不在の場合でも遺産分割や不動産の売却などの手続きを進めることが可能だ(詳細は『不在者財産管理人選任』〈裁判所〉を参照)。

 なお、非嫡出子であっても子が父親から「認知」されている場合、戸籍謄本にも正式に名前が記載されているため、戸籍謄本を取れば確認ができる。

 また、被相続人である父親に隠し子がいても、「父親に認知されていない非嫡出子」の場合には相続権がないため、特に連絡しなくても構わない。

「争族回避」チェック項目(3)
見落としがちなデジタル資産の存在

 現在は電子マネーなど、デジタル資産と呼ばれる財産が存在する。例えば、PayPayの残高上限は100万円にもなるため侮れない。そのため、これらの取り扱いなどについても話し合っておく必要がある。

 また、このようなデジタル資産はその有無や在りかを本人しか知らないことも多い。そのため、事前にどのようなサービスを利用しているかを把握しておくことは重要だ。被相続人のデジタル遺産に関する相続手続きのマニュアルはまだまだ整備されているとは言えない。

 いざというときにすぐ問い合わせや手続きができるように、親にアカウント情報などのメモをどこかに残しておくよう頼むことをお勧めする。

兄弟間の配分について
決めておくことが重要

 相続トラブルで多いのは、遺産分割の金額や割合で遺族同士がもめてしまうケースである。そのため被相続人の存命中に、その配分について話し合っておくことが賢明だ。ここでは配分する際に注意すべき点について説明する。